2026.04.29
演奏会
雅楽の楽曲を伝えた遣唐使は、延暦と承和の2回が良く知らせていますが、「柳花苑」は延暦の遣唐使であった久礼真茂(くれのさねもち)が伝えて、承和年間に太食調から双調に改作されたと伝えられる曲です。
菅原道真の漢詩に「早春内宴にして宮妓の柳花怨の曲を奏するを聴く」とあり、正月の内宴の時には、内教坊の女性がこの曲を舞ったようです。
平安末期に復興した内宴の様子を描いた『年中行事絵巻』には、6人の女性の舞、太鼓や笙・篳篥・龍笛などを演奏する男性の他に、琵琶、箏、方響を演奏する女性の姿があり注目されます。
今回はこの絵や平安中期の儀式書などを参考にして、笙、篳篥、龍笛、琵琶、箏、方響、笏拍子といういつもとは違った編成で演奏いたします。
また、琵琶・箏は平安初期の調絃、笙も唐代の音楽理論に則っていつもは使わない勝絶(F)の音を出すなどの試みをいたします。
通常の「柳花苑」とは少し違う響きに、平安初期の正月内宴の様子を想像しながらお聴きになってみてください。
2026.04.29
演奏会
今回の演奏会で最もじっくりお聞きいただけるのが、「蘇合香(そこう)序一帖」です。
「序一帖、三帖、四帖、五帖、破、急」からなる組曲の冒頭の部分ですが、何しろ全曲演奏すれば3時間はかかるという大曲ですから、「序一帖」だけでもボリュームがあります。
「序一帖」は、「序」というフリーリズム部分、「楽拍子」というしずかに延べて吹く部分、「七拍子」という於世吹にて軽く吹く部分の3部分から成りますので、拍子、速さの変化を楽しみつつゆったりとお聴きいただければと思います。
この曲は昔、インドのアショカ王が病気になったとき、蘇合草という薬草のおかげで治癒し、これを喜んで作ったという由来があります。
唐では香を調合するときに傍らでこの曲を演奏したともいわれますので、静かにゆっくりと香財を混ぜ合わせる雰囲気を、この曲からお聴き取りいただけるかもしれません。
紀元前3世紀のアショカ王の時代から約1000年後、延暦の遣唐使(804-806年)の和邇部嶋継(わにべのしまつぐ)がこの曲を日本へ伝えました。
更にその1200年後の私たちがこの曲を演奏できるのも、遣唐使のおかげだと言えましょう。
2026.04.27
演奏会
雅楽の曲の中には、遣唐使が習ってきたものの、帰る船の中で忘れてしまった、と伝えられている曲がいくつかあります。
この「玉樹後庭花」も「承和遣唐使の舞生が帰朝するときにこの楽を忘れたので、又遣わして、この朝に習いとどめた。」と伝えられています。(『教訓抄』)
ただし、正式に派遣された遣唐使は承和が最後ですので、又遣わした云々がどういうことなのか少々謎です。
この舞は、妓女の舞であったようですが、いつの頃からか女性が舞うことは無くなってしまいました。
堀川天皇の時代(1087~1107)に、元興寺の宝蔵の唐櫃に残っていた玉樹後庭花の装束の検分があり、「天女の装束」のような衣や装飾について『続教訓抄』に記されていますが、その後宝蔵の火事があり焼失してしまったといいます。
女人舞楽原笙会の方々は、この装束と舞の手を古楽書を手掛かりに復元され、2025年3月に平城京跡朱雀門前にて初演されました。
今回の公演では、芝祐靖先生の復曲によるこの曲を伶楽舎が演奏し、女人舞楽原笙会の方々に舞っていただくことになりました。共演できることを、とても楽しみにしています。
2026.04.27
未分類
遣唐使の中には、唐で楽器を学び曲を習ってくるだけでなく、秘曲を伝授され、名器を譲り受け、師匠の娘を娶って帰ってきた人もいました。
それが承和の遣唐使の一人、藤原貞敏(807-867)です。
彼が、唐の琵琶博士である廉承武より授けられた、三曲の琵琶の秘曲が「啄木」「流泉」「楊真操」でした。
中でも特に「啄木」は秘曲中の秘曲とされたそうです。
「啄木」といえばキツツキのこと。秘された特殊な奏法の中には「啄木之音」というのがあるのだとか。いったいどんな音なのでしょう。
この曲の伝承は残念ながらとだえてしまったようですが、宮内庁書陵部にはその伝授記録や楽譜が残されており、これを手掛かりとして中村かほるが復曲したものを、演奏会ではご披露いたします。
2026.04.20
演奏会
2026.01.17
演奏会
1/22開催「伶楽舎雅楽コンサートno.44新春を寿ぐ」の前売り販売は上限枚数に達したため終了いたしました。
当日券はホール受付にて、18:00より販売予定です。
また曲順についてですが、
第1部
舞楽 喜春楽
第2部
男踏歌(芝祐靖構成)
萌す波のかたち(山本和智作曲)
となります。
チラシ記載の順と異なりますのでご注意くださいませ。
どうぞよろしくお願いいたします。
2026.01.07
演奏会
1月22日の公演では「新春を寿ぐ」というテーマにふさわしく、新春の宮中行事「男踏歌」を取り上げます。
男踏歌は、年が明けて初めての満月の前の晩に行われる年中行事でした。
内裏の清涼殿前庭で行われてから、院の御所や中宮、春宮などの邸宅を回り、また内裏に戻るという流れだったようです。踏歌の人々はまず庭前に参入し、「言吹」が祝詞や豊年を祈る詞を奏し、「絹鴨」「萬春楽」「此殿者」「竹河」「我家」などの歌を歌い舞を舞ったりし、ご馳走やお酒もふるまわれて、最後はご褒美の綿(真綿)を肩に被(かづ)けられて退出するのです。
『源氏物語』の「初音」の巻には、男踏歌の一団が、もう夜も開けようとする頃に六条院へやってくる場面が描かれています。薄雪が積もる中、若者らが「竹河」を歌う様子は「絵にも描きとどめがたらん」美しさ。翌朝になっても源氏の君は「萬春楽」を口ずさんで、息子の声もなかなか良かったなどと評したりするのです。
男踏歌は10世紀末には廃絶してしまい、音楽も舞も伝えられていませんが、今回は2008年に芝祐靖氏が節をつけた歌で新たに構成された男踏歌を上演いたします。
「萬春楽」や「我家」など、口ずさみたくなる節に、1000年前の男踏歌に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。
2026.01.02
お知らせ
旧年中は大変お世話になりました。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
2026年 丙午正月
さて、今月1月22日(木)は、
「伶楽舎雅楽コンサートno.44新春を寿ぐ」が開催されます。
https://reigakusha.com/home/concert/5121
「春を喜ぶ」と書く舞楽「喜春楽」、
古の新年の行事であった「男踏歌」、
そして、今回の委嘱新作、山本和智さんの「萌す波のかたち」
四谷区民ホール 19時開演です。
チケットまだお持ちでない方、どうぞ今すぐお申し込みください。
〈今後の自主公演〉(予定)
5月14日(木)19:00大和田さくらホール
伶楽舎雅楽コンサートno.45 遣唐使の雅楽(仮題)
(蘇合香序一帖、清上楽、舞楽 玉樹後庭花=客演・原笙会、他)
7月◯日14:00四谷区民ホール(予定)
大人も大歓迎!子どものための雅楽コンサート2026
(越天楽、楽器体験、舞楽、伊左治直「踊れ!つくも神〜童子丸てんてこ舞いの巻〜」他)
2027年1月30日(土)14:00 紀尾井ホール
伶楽舎第18回雅楽演奏会
(管絃「蘭陵王」、舞楽「萬歳楽」、藤倉大作曲 委嘱新作 他)
*写真は第17回雅楽演奏会より「秋庭歌一具」紀尾井ホール(2025.1.24) photo by 平舘平
2025.12.27
演奏会
2025.12.19
演奏会

2026年正月の伶楽舎公演は「新春を寿ぐ」公演です。
正月の「男踏歌」を芝祐靖が復曲構成した曲、春の芽生えに着目した山本和智作曲「萌す波のかたち」、そして舞楽「喜春楽」を演奏します。
「喜春楽」は左方の4人舞で、陰陽五行思想では夏に配された黄鐘調の曲ですが、曲名に「春」が入っており、立春に春宮太管がこの曲を奏したとも言います。
今回は序と破四帖をたっぷりと舞い、演奏します。
「序」は拍節のない曲ですが、笙・篳篥・龍笛の自由な旋律が絡み合い、さらに舞をつけていて、なかなか単純な一筋縄ではいかない所が面白い曲です。
この序だけでもなかなか聞きごたえがありそうです。
「破」は拍節のある曲で、ゆったり始まって徐々にテンポを上げていきます。
途中で、4人が向き合いながら跪いて蛮絵装束の袍の右肩を脱ぐのが「喜春楽」の特徴。右肩袒の後は、檜皮色の袍から、右袖だけ朱に縁どられた白色の下襲が覗くというコントラストのある色使いとなり、舞いながらゆっくり舞台を一巡するあたりは、少し「春庭花」にも似た舞ぶりです。
最後の「重吹」では、舞ながら一列になって一人ずつ退場する入綾となりますが、一臈と三臈の舞人が左手を上げる時は、二臈と四臈の舞人は右手を上げるというように、互い違いとなるのが、他の曲とは違っていて面白く感じられます。
その他にも、鞨鼓の奏法が壱鼓掻といって、連打をしない奏法であるところなど、この曲ならではの特色の多い曲です。
雅楽らしい時間の流れる「喜春楽」で、新春を共に喜びましょう!