2023.11.07
お知らせ
こちらの伶楽舎公式サイトがリニューアルされ、「公演記録」が見やすくなりました。演奏会一覧、主催公演一覧が年別表示されますので、どうぞご覧ください。
2023.11.01
演奏会
2023年1月29日(月)に開催される「伶楽舎雅楽コンサートno.41江戸城の雅楽~さまざまな試み」のチケットが販売となりました。
今回の公演では、江戸時代の武士、儒学者らの復曲の試み、江戸城での柳営管絃で演奏された曲など、江戸時代のエネルギーに満ちた雅楽の一端をご紹介いたします。
2023.04.29
演奏会
「長沙女引」(「敦煌琵琶譜」より)芝靖復曲(1983年)
敦煌の第十七莫高窟の奥の石窟から発見された「敦煌文書」に含まれていた琵琶譜は、発見当初、解読不可能と思われていましたが、日本の楽琵琶の記譜法と酷似していることがわかり、復元の糸口となったといいます。
唐代に記されたというこの「敦煌琵琶譜」の楽曲は、国立劇場の委嘱で、芝祐靖によって1982年~1998年までにほぼ全曲の23曲が復曲されています。
今回演奏する「長沙女引」もこの「敦煌琵琶譜」曲の一つですが、他の曲が正倉院復元楽器の大編成曲として復曲されているのに対して、小編成となっているのが特徴です。
排簫(パンフルートの一種)、箜篌(竪型ハープの一種)、阮咸(円形胴に長い棹を持つ4絃琵琶)、大篳篥(低音の篳篥)の四つの楽器の楽器の特性を生かして、柔らかく叙情的な一曲に仕上げられています。
敦煌琵琶譜の音楽を正倉院復元楽器の合奏でお楽しみください。
2023.04.27
演奏会
笙と三絃のための小品 円江(つぶらえ)(風俗歌より) 芝祐靖作曲(1994年)
高田和子により委嘱され、1994年の三絃リサイタルⅤにて、高田和子(三絃)、石川高(笙)により初演された曲です。
風俗歌の「つぶら江」は大阪船場の西にあたる「津村」のあたり、おそらく古代には円形の入り江だったであろう場所の風情を詠ったもののようですが、旋律は伝えられていません。
芝は、風俗歌「つぶら江のや 瀬なや 秋なれば 霜降り渡る 難波(なば)のつぶら江」に古代歌謡風の旋律を付し、この曲の中間部で三味線奏者に歌わせています。
実は、この歌の部分には元曲があり、芝が1963年10月に、中島雅楽之都(1896-1979)の委嘱により歌と箏独奏のために作曲した「つぶら江」の歌の旋律が用いられています。
今回の演奏会で取り上げる「三重奏曲」と同じ年ですね。
江戸情緒を彷彿とさせる三絃に、古代楽器を象徴する笙と風俗歌を取り合わせることで、どのような曲となるのか、お楽しみください。
2023.04.27
演奏会
この曲は、NHKの委嘱により芝祐靖が1963年2月に作曲したもので、篳篥―東儀博、箏―伊藤松博、十七絃―宮下伸による演奏が、5月3日にNHK第2放送、同10日にNHKFMで放送されました。
芝が初めて作曲を手掛けたのは、西洋オーケストラのための作品〈御成婚祝典序曲〉(1959)でしたが、その後、雅楽の楽器と邦楽の楽器を取り合わせた作品をNHKの委嘱により作曲し始めます。
この作品はそのごく初期の作品で、1962年「西寺」(笙、尺八、箏、十七絃)に続くものです。小編成の「西寺」と「三重奏曲」の作曲の手ごたえを元に、同1963年7月に16名の大編成による初めての作品「舞楽風組曲」が作曲されることになります。
残念ながらこの曲は再演の機会に恵まれず、今回は1997年以来久しぶりの演奏となります。
芝が雅楽を用いた新作を意欲的に作曲することになる、その始まりとなる曲の一つとしてこの曲をご紹介できることはたいへん嬉しいことです。
華やかな奏法を取り入れた近世の箏と十七絃と、哀愁ある旋律を奏でる篳篥のアンサンブルをお楽しみください。
2023.04.21
演奏会
「曹娘褌脱」(そうろうこだつ)は、『新撰楽譜』(966年源博雅撰)に笛譜のみが残されている曲で、序、破、褌脱、颯踏の4つの楽章からなります。
これまでにも伶楽舎は「曹娘褌脱」を復元楽器を用いた合奏曲としてしばしば演奏していますが、実はこの曲にはこの復元楽器バージョンの他に、古典雅楽の管絃の様式で復曲されたバージョンもあり、今回はこちらの古典様式版を演奏いたします。
「曹娘褌脱」は「角調」という調に属する唯一の曲として『新選楽譜』の中に掲載されています。
「角調」とは聞きなれない調名ですが、平安時代に体系づけられた唐楽の六調子(壱越調、平調、双調、黄鐘調、盤渉調、太食調)に入りきらなかった調の一つです。これらの調のうち「沙陀調」「水調」は音取や調絃の名称として今も名前が残っていたりしますが、「角調」は「乞食調」「性調」「道調」などと同様に平安後期以降には姿を消してしまいました。
「角調」の音階構成音は「盤渉調」と同じなので、「曹娘褌脱」の曲調は「盤渉調」に似ていますが、各小曲が盤渉(B)の音で終らず、下無(F#)で終るのが特徴です。
「曹娘褌脱」古典様式版は、1981年2月10日、国立劇場の第29回雅楽公演「伶楽 曹娘褌脱―長秋横笛譜より」で初演され、1986年9月23日の東京藝術大学芸術祭でも学生らによって演奏されましたが、その後は演奏された記録がありません。
『新撰楽譜』に記された曲が、千年余りの時を経て、芝祐靖の手によりどのように蘇ったのか、この機会に是非お聴きください。
2023.04.21
演奏会
「簫と雅楽器のための合奏曲 招韻―いかるがの幻想―」は、小野雅楽会の委嘱により1977年7月に作曲され、1978年11月13日に国立劇場小劇場で、アーサー・シェトル指揮、小野雅楽会の演奏にて初演された曲です。
「招韻」とは昔のひびきを今日に招き寄せるという主旨で、「簫」(排簫)の音に因んでつけられました。
奈良系の楽人の家に生まれた作曲者が奈良を訪れた時に心に残ったのは、斑鳩の里の風情――真夏の青空と田園の緑、白壁の家並みと法隆寺五重塔の遠景でした。この印象をベースにこの曲を作曲したといいます。
曲で使用される楽器は、古典の管絃の楽器を基本としながらも、復元楽器の竽、排簫、尺八や、笏拍子、鏧、銅拍子、十七絃、などさまざまな楽器と声が用いられます。
「古典雅楽」が失ってしまった抒情性を回復回復させたい、という作曲者の思い伝わる、どこか懐かしさを覚える曲です。
1996年の伶楽舎第3回ミニコンサートで取り上げた後、演奏される機会がありませんでしたので、実に27年ぶりの再演となります。
斑鳩の里を思わせる旋律をご堪能下さい。
2023.01.20
演奏会
1月28日の紀尾井ホール公演最後の曲は中川俊郎作曲の「天門楽」です。
中川さんは現代音楽において多彩な活動をされており、邦楽器や雅楽の楽器を用いた作品も多く発表されていますが、16人という大編成の雅楽アンサンブルのための作品はこれが初めてのものです。2006年に初演され、今回は改訂版の初演となります。
この「天門楽」は1つの曲の中にさまざまな記譜法が混在しているのが特徴で、五線譜で書かれた楽譜だけでなく、図形楽譜を見ながらの即興的な要素も多く含まれています。そのためこの曲の練習では、いつにも増して、作曲者に質問したり、演奏者同士でどのようにするか話しながら演奏を作り上げていく場面がたくさんありました。
16年前と同じ譜を見ても、違う音が生まれてくるところが、この曲の面白さのように感じます。今回はどんな「天門楽」が生まれるのか、演奏者も楽しみにしています。
2023.01.16
演奏会
桑原ゆう作曲「歌虚言の場」Garden of Onomatopeiasは、伶楽舎が委嘱し、今回が初演となる管絃11人編成の作品です。
「歌虚言」とは「絵空事」同様、文学や芸術の中で、うそかもしれないけれど、美化され強調された表現の中でこそ真実が見えてくる、という意味の言葉。また「場(にわ)」とは神を迎え祀る場所、何かを生み出す神聖な空間、ひいては音楽の空間だといいます。
桑原さんは<雅楽ほど「にわ」たりえる音楽はないと思われる>と語っておられ、雅楽の曲を書くことになったら「にわ」と名づけようと決めていたのだそうです。
曲は、雅楽の唱歌と楽器の演奏の関係のように、「ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん」という中原中也の詩などの言葉が歌われ、楽器の音に変換され、麗しく展開していきます。
雅楽の歌虚言の場、紀尾井ホールの庭に、どんな真実の音が響くことか、それを夢見てリハーサルに臨んでいます。是非、ご期待ください。
2023.01.14
演奏会
舞楽は「春庭花(しゅんでいか)」をとりあげます。
この曲は左舞の四人舞で、舞人は蛮絵装束を片肩袒(右肩を袒ぐ)し、太刀を佩き、冠には挿頭花を着けて舞います。二帖繰り返して奏されますが、二帖目になると鞨鼓や太鼓の打法が変わって賑やかになり、四人の舞人は舞台の上をゆっくり回りながら、花が開いたり閉じたりするかのように舞うという、華やかな舞です。
楽曲は、春の調子とされる双調の曲で、明るい響きを持つ名曲です。
平安時代の頃、「春庭花」は、元日節会など春の節会の参音声として用いられたとも伝えられます。新春にふさわしい舞楽「春庭花」をお楽しみください