2024.01.06
演奏会
「青海波」といえば、源氏物語の中で、朱雀院の御賀の折に若き光源氏が舞った舞としてとても有名ですね。
実際にもこの曲は、院の御賀の折などに時の権力者が念入りに準備し、公卿が舞い、大勢の垣代が参加する、たいへん大掛かりで特別な舞楽曲だったのですが、足利義教が永享9年(1437)に室町殿行幸で催してからは、応仁の乱に始まる戦乱の中で催される機会もなくなっていました。
江戸時代、三代将軍家光は寛永3年(1626)の後水尾帝の二条城行幸の折、実に190年ぶりに青海波の舞楽を復興します。殿上人が輪台・青海波を舞い、34名の垣代が大輪小輪を作り、箏・琵琶は天皇や親王らが演奏するという故実に沿った華やかな演出でした。
現在宮内庁楽部にある鼉太鼓一対は、この時に用意されたものを二条城から運んだと伝えられ、現在使用されている麹塵色の装束等もこの時の様式がその後踏襲されたと言います。
この時は京都の二条城での上演でしたが、四代将軍家綱の時代、寛文5年(1665)には江戸城でも青海波が上演されています。これは家康公五十周忌に際し、三方楽所の楽人50人が日光に赴いて舞楽を行った還立として江戸城で催されたものでした。蘇合香、退走禿とともに40年ぶりに再興されたといいます。
今回の伶楽舎公演では垣代の演出はございませんが、琵琶・箏を入れた管絃舞楽で青海波を上演いたします。華やかな舞をお楽しみください。