2023.04.21
演奏会
「曹娘褌脱」(そうろうこだつ)は、『新撰楽譜』(966年源博雅撰)に笛譜のみが残されている曲で、序、破、褌脱、颯踏の4つの楽章からなります。
これまでにも伶楽舎は「曹娘褌脱」を復元楽器を用いた合奏曲としてしばしば演奏していますが、実はこの曲にはこの復元楽器バージョンの他に、古典雅楽の管絃の様式で復曲されたバージョンもあり、今回はこちらの古典様式版を演奏いたします。
「曹娘褌脱」は「角調」という調に属する唯一の曲として『新選楽譜』の中に掲載されています。
「角調」とは聞きなれない調名ですが、平安時代に体系づけられた唐楽の六調子(壱越調、平調、双調、黄鐘調、盤渉調、太食調)に入りきらなかった調の一つです。これらの調のうち「沙陀調」「水調」は音取や調絃の名称として今も名前が残っていたりしますが、「角調」は「乞食調」「性調」「道調」などと同様に平安後期以降には姿を消してしまいました。
「角調」の音階構成音は「盤渉調」と同じなので、「曹娘褌脱」の曲調は「盤渉調」に似ていますが、各小曲が盤渉(B)の音で終らず、下無(F#)で終るのが特徴です。
「曹娘褌脱」古典様式版は、1981年2月10日、国立劇場の第29回雅楽公演「伶楽 曹娘褌脱―長秋横笛譜より」で初演され、1986年9月23日の東京藝術大学芸術祭でも学生らによって演奏されましたが、その後は演奏された記録がありません。
『新撰楽譜』に記された曲が、千年余りの時を経て、芝祐靖の手によりどのように蘇ったのか、この機会に是非お聴きください。