2022.04.23
演奏会
5月24日の伶楽舎雅楽コンサートno.39は「枕草子を聴く」と題し、『枕草紙』に記された雅楽のシーンや楽器・楽曲評をご紹介し、彼女の感性を通して見えてくる雅楽の世界をお楽しみいただきます。
~笛は横笛、いみじうをかし。遠うより聞ゆるが、やうやう近くなりゆくもをかし。近かりつるがはるかになりて、いとほのかに聞ゆるも、いとをかし。~
遠くから聞こえる笛の音がだんだん近くなる面白さ、また遠のいていく音に耳を澄ます清少納言の感覚に、現代の私たちも共感できますね。
~おはしまし着きたれば、大門のもとに高麗唐土の楽して、獅子・狛犬をどり舞ひ、乱声の音、鼓の声にものもおぼえず~
清少納言が我を忘れて感動したという「獅子」「狛犬」は、ともに伎楽や散楽と関係する曲で、大法会などで演じられていたようですが、現在は演奏されていません。今回は、芝祐靖の復曲により、左方の「獅子乱声」は龍笛の独奏、右方の「狛犬乱声」は高麗笛の退吹と太鼓、鉦鼓で演奏します。
~笙の笛は、月のあかきに、車などにて聞えたる、いみじうをかし。~
笙の笛は、月の明るい晩に、牛車に乗っていて聞こえてくるのが、たいへん趣がある、と、清少納言は笙もお好きだったようです。
今回は「平調調子」を笙5管で演奏いたしますので、月の明るい晩を想像しながらお聞きください。
~篳篥は、いとかしがましく、秋の虫をいはば、くつわむしなどの心地して、うたてけぢかく聞かまほしからず。ましてわろく吹きたるはいとにくきに~
篳篥はくつわむしみたいに、とてもうるさくて、傍では聞きたくない。まして下手に吹いたものは本当に腹立たしい・・・! 清少納言は篳篥には手厳しい意見ですね。
「わろく吹きたるは・・・」と酷評されないようにと願いつつ、今回の演奏会では「黄鐘調調子」を篳篥5管の退吹で演奏いたします。