2025.12.19
演奏会

2026年正月の伶楽舎公演は「新春を寿ぐ」公演です。
正月の「男踏歌」を芝祐靖が復曲構成した曲、春の芽生えに着目した山本和智作曲「萌す波のかたち」、そして舞楽「喜春楽」を演奏します。
「喜春楽」は左方の4人舞で、陰陽五行思想では夏に配された黄鐘調の曲ですが、曲名に「春」が入っており、立春に春宮太管がこの曲を奏したとも言います。
今回は序と破四帖をたっぷりと舞い、演奏します。
「序」は拍節のない曲ですが、笙・篳篥・龍笛の自由な旋律が絡み合い、さらに舞をつけていて、なかなか単純な一筋縄ではいかない所が面白い曲です。
この序だけでもなかなか聞きごたえがありそうです。
「破」は拍節のある曲で、ゆったり始まって徐々にテンポを上げていきます。
途中で、4人が向き合いながら跪いて蛮絵装束の袍の右肩を脱ぐのが「喜春楽」の特徴。右肩袒の後は、檜皮色の袍から、右袖だけ朱に縁どられた白色の下襲が覗くというコントラストのある色使いとなり、舞いながらゆっくり舞台を一巡するあたりは、少し「春庭花」にも似た舞ぶりです。
最後の「重吹」では、舞ながら一列になって一人ずつ退場する入綾となりますが、一臈と三臈の舞人が左手を上げる時は、二臈と四臈の舞人は右手を上げるというように、互い違いとなるのが、他の曲とは違っていて面白く感じられます。
その他にも、鞨鼓の奏法が壱鼓掻といって、連打をしない奏法であるところなど、この曲ならではの特色の多い曲です。
雅楽らしい時間の流れる「喜春楽」で、新春を共に喜びましょう!