2024.05.06
演奏会
「源氏物語」の花宴の巻に、南殿の桜の宴の折に「春の鴬囀るといふ舞」つまり「春鶯囀」の舞楽をたいへん面白くご覧になった東宮が、源氏の君に舞を所望するシーンがあります。
前年の秋の紅葉の賀では、源氏が「青海波」を舞っていますので、東宮はその素晴らしさを思い出したのでしょう。
源氏の君はお断りもできず、「たちて のどかに 袖かへすところを ひとをれ気色ばかり舞ひたまへる」のですが、それだけでもたとえようもなく素晴らしく、左大臣はうらめしさも忘れて感涙されます。
どんな舞ぶりだったのでしょう。
『枕草子』にも「調べは・・・鶯のさえづりといふ調べ」とありますので、平安時代、この曲は人々に親しまれていたようですね。
唐の高宗が鶯の声を聞いて楽工の白明達にこれを写させ、舞曲を作らせたとも伝えられるこの曲。6つの曲からなる一具(組曲)のうち、今回は3曲目の「颯踏」と4曲目の「入破」の舞楽をご覧いただきます。