2023.04.21
演奏会
「簫と雅楽器のための合奏曲 招韻―いかるがの幻想―」は、小野雅楽会の委嘱により1977年7月に作曲され、1978年11月13日に国立劇場小劇場で、アーサー・シェトル指揮、小野雅楽会の演奏にて初演された曲です。
「招韻」とは昔のひびきを今日に招き寄せるという主旨で、「簫」(排簫)の音に因んでつけられました。
奈良系の楽人の家に生まれた作曲者が奈良を訪れた時に心に残ったのは、斑鳩の里の風情――真夏の青空と田園の緑、白壁の家並みと法隆寺五重塔の遠景でした。この印象をベースにこの曲を作曲したといいます。
曲で使用される楽器は、古典の管絃の楽器を基本としながらも、復元楽器の竽、排簫、尺八や、笏拍子、鏧、銅拍子、十七絃、などさまざまな楽器と声が用いられます。
「古典雅楽」が失ってしまった抒情性を回復回復させたい、という作曲者の思い伝わる、どこか懐かしさを覚える曲です。
1996年の伶楽舎第3回ミニコンサートで取り上げた後、演奏される機会がありませんでしたので、実に27年ぶりの再演となります。
斑鳩の里を思わせる旋律をご堪能下さい。