2022.04.23
演奏会
清少納言は絃楽器の中では琵琶がお好きだったようです。
~弾くものは~
の段では、まず琵琶をあげ、「風香調」「黄鐘調」「蘇合急」「春鶯囀」と曲を連ねています。
~箏のこと、いとめでたし。調べはさうふれん。~
続いて箏についても素晴らしいと評してから、「想夫恋」という曲名を挙げています。
この「想夫恋」は「相府蓮」として現在も演奏されている平調の曲ですが、箏の手にとりたてて他と違うところがあるわけではなく、箏だけで演奏されることもありません。
清少納言がわざわざ曲名を挙げているのは、もしかしたら「想夫恋」という曲名が素敵だったからなのでは?と勘繰りたくもなりますが、一方で、もしかしたら彼女の聞いた「想夫恋」は、今とは少し違う弾き方だったかもしれない、とも思えます。
そこで今回は、「仁智要録」という12世紀の箏譜を参照し、これを手掛かりにして「想夫恋」を演奏する試みを行います。
「仁智要録」に記された昔の調絃法、今では失われてしまった左手で絃を推す奏法、数種書き分けられている右手奏法、テンポなどについて解釈しながら古譜を読み解いてみました。
箏独奏と、箏・笙による二重奏にて試演する予定です。これなら「想夫恋」をまっ先に挙げた清少納言に共感できる、といっていただけるような魅力的な演奏になるかどうか・・・どうぞご期待ください。
さらに、現行の「相府蓮」も滅多に演奏される機会のない曲ですので、16人編成の管絃で演奏する予定です。
「想夫恋」と「相府蓮」どちらもお楽しみください。