2019.12.05
演奏会
今回演奏する「盤渉参軍」は、今から千年余り前に編纂された『新撰楽譜』という笛譜にのみ残された大曲です。
『新撰楽譜』は、『長秋竹譜』あるいは『博雅笛譜』とも呼ばれ、平安中期の非常に優れた音楽家であった源博雅が、村上天皇の勅命により康保3年(966)に編纂したものです。
この『新撰楽譜』に記された曲には伝承の途絶えた曲も多いのですが、大曲「盤渉参軍」も、序が十三帖、破が十帖とあまりに長大であったせいか、その後の楽譜には現れなくなります。曲の由来もわかりません。しかし、その様式からは、唐代の大曲の様式が日本式に変形されつつあった平安中期の雅楽のありかたが見えるといいます。
芝祐靖は、国立劇場の委嘱により数年をかけてこの「盤渉参軍」の復曲に取り組み、昭和52年(1977)に序十三帖、昭和54年(1979)に破十帖を復曲しました。
今回はこの全ての帖を、省略なしに演奏いたします。
たいへん長い曲ですが、ゆったりとお楽しみいただければ幸いです。