2019.04.03
演奏会
「青海波」といえば、「源氏物語」の紅葉賀で、源氏の君が頭中将と二人で舞い、そのひかり輝く美しさに皆が涙するシーンが有名です。実際、後白河法皇など上皇の五十賀の折には、40人もの垣代を伴う大掛かりな演出で、貴人が豪華な装束を身にまとって「青海波」を舞ったことが、記録に多く残されています。
「輪台」を序、「青海波」を破とするとされていますが、今回の公演では、「青海波」部分を、詠や吹渡といった垣代作法を小規模ながら取り入れた形で上演いたします。
萌黄色の青海波模様の装束に千鳥の刺繍を施した豪華な装束、舞の間に挿入される垣代作法、小野篁の詩に節をつけた詠、男波・女波・千鳥懸と美しい名前の付いた打もの(打楽器)の奏法、波をイメージさせる舞の手。どれをとっても、いにしえよりこの舞が特別な扱いであったことがわかります。
貴人たちの青海波にはとても及びませんが、紅葉賀のシーンを思い浮かべながらご覧いただければ幸いです。